【ゼミテーマ紹介】生成AIとログ分析を用いた対話型プログラミング学習プラットフォームの構築

概要 2025年度4年ゼミ生の木原優月さんが,「生成AIとログ分析を用いた対話型プログラミング学習プラットフォームの構築」というテーマでICT活用総合実習に取り組みました. プログラミング初学者にとって,エラーに直面したときに「何が問題なのか」「なぜこのコードではダメなのか」を自力で理解することは大きなハードルです.生成AIに聞けば答えはすぐに得られますが,それでは自律的な問題解決能力が育ちません.木原さんは, AIが答えを教えるのではなく,学習者自身の思考を促しながら段階的に問題解決へと導く 「AIペアプログラミング」という指導スタイルを採用した学習支援プラットフォーム「アイラ」を開発しました. なお,本作品は にいがたデジコングランプリ2025 テクノロジー部門 に入選しています(受賞報告記事).入選作品の紹介動画は YouTube で公開されています. テーマのポイント 課題:「答えが手に入りすぎる」時代の学習 生成AIの急速な進化により,エラーメッセージを貼り付けるだけで修正コードが返ってくる時代になりました.しかし,AIに依存しすぎることで自律的な問題解決能力の習得が妨げられる懸念があります.たとえAIの出力が正しくても,学習者がその内容を理解しなければ意味がなく,またAIが生成したコードに潜むバグを発見・修正する力も求められます. アプローチ:AIペアプログラミング 「アイラ」の最大の特徴は,AIが学習者と並走するパートナーとして機能する点です.具体的には以下の仕組みで学習を支援します. 対話型指導 — 答えを直接提示せず,適切なヒントや質問を通じて学習者に自ら考えさせる コード編集履歴の分析 — VSCode拡張機能でコードの変更履歴をリアルタイムに収集し,学習者の思考プロセスや躓きのポイントをAIが把握 個別最適化されたフィードバック — ログ分析に基づき,学習者一人ひとりの理解度や癖に合わせたアドバイスを提供 使用技術 フロントエンド:React + Vite,TypeScript バックエンド:Python,FastAPI AIモデル:Gemini Flash 2.5 ログ収集:VSCode拡張機能(独自開発) データベース:SQLite 評価実験の結果 Web開発経験を持つ被験者3名にHTML・JavaScriptによるTODOアプリの作成を課題として実験を行いました.AI評価項目では「『なぜ』に踏み込んだ指摘があるか」が平均4.7点(5点満点)と最も高く評価され,単なるコード修正ではなく 思考過程への踏み込んだフィードバック が本システムの強みとして確認されました.UI/UX評価でも操作性・見やすさ・機能満足度がいずれも平均4.7点と高評価で,全被験者が「今後も使い続けたい」と回答しています. 成果と展望 競合サービス(Udemy,Paizaなど)との比較では,「自分のコード前提で会話できる」「考えさせるため勉強になる」点が優位性として評価された一方,「完全な初心者には難易度が高い」という課題も明らかになりました.今後は,学習者のレベルに応じてヒントの粒度を動的に調整する適応的学習機能や,チーム学習への対応が展望として挙げられています.

March 23, 2026