研究概要

本研究室は,音楽やプログラミングなどの「創造的活動」を主要な研究対象とし,その過程で生まれる行動データや生成物データをデータサイエンスの手法を用いて分析・モデル化しています.

「誰もが情報を容易に発信でき,複数の情報の組み合わせ・分析・解析を行い,新たな価値を創造することにより,自由で豊かな社会の実現」を目指すという理念に基づき,人間の知的活動の構造と特性をデータに基づいて深く理解し,その知見を応用することで,創造性,学習,および問題解決能力の向上を支援する革新的な方法論の確立を目指しています. 特に,音楽情報科学とソフトウェア工学を二大柱として,エディタログ解析や音楽情報処理技術,最新のAI技術を融合させ,人間と機械が協調する新たな知的活動のあり方を探究します.


研究テーマ

本研究室の主要な研究テーマは以下の2点です.

  1. プログラミング行動データの解析によるソフトウェア開発知のモデル化と学習支援: エディタログや生成AI利用履歴などの開発プロセスデータを詳細に分析し,学習者や開発者の思考過程・認知負荷をモデル化します.このモデルに基づき,効率的な学習支援システムや,行動データに基づく実践的なソフトウェア工学研究を展開し,ソフトウェア開発の知的な活動を支援します.

  2. 音楽データの分析とモデリングによる音楽理解と創造支援: 音楽に関する構造的・表現的データを,情報処理技術と音楽理論の両面から深く解析し,音楽理解の新たな枠組みを探究します.旋律と歌詞の対応関係,20世紀音楽の構造分析といった具体的な題材を通じて,音楽情報処理とデータサイエンスを融合させた,創造支援および高度な音楽分析手法を構築しています.


学生の指導方針

本研究室の指導方針は,学生一人ひとりの自律性探究心を最大限に尊重し,データサイエンスを駆使して社会に新たな価値を生み出せる人材の育成にあります.育成目標として,以下の3点を柱とします.

  1. 自由と責任に基づくテーマ設定: 学生自身の強い興味・関心を起点とし,研究室の専門分野である「創造的活動のデータ分析」と交差する領域で,研究テーマを自由に設定することを奨励します.この自由度のもと,学生は主体的に課題を設定し,解決へ導く責任感を養います.過去の具体的な研究テーマは,ゼミ研究テーマをご覧ください.
  2. 実践的なデータ分析能力の習得: 理論の学習に留まらず,音楽演奏データやプログラミングエディタログといった生きたデータ(実世界データ)を取り扱う実践的な研究を通じて,データ収集,前処理,分析,可視化,そしてモデリングに至る一連の高度なデータサイエンススキルを徹底的に習得します.
  3. 実習・アウトプットを通じた発信力の強化: 本研究室では,専門職大学として実践的な実習学術的な探究の両立を重視しています.全国大会や研究会での学会投稿といったアカデミックな活動と並行し,コンテスト形式のアクティビティを通じて社会の課題解決や新たな価値創造に挑むことを積極的に奨励しています.